SIX/NINE解説11 密室

シリーズの続きです。


この曲は、ギシギシと張り詰めた雰囲気の
S/Nの中では、一番聞きやすい、
それまでのBTの曲に近い感じの曲ですね。


人気も高く、今でもデイインなどで演奏されたりします。
歌詞も素晴らしい。当時の櫻井さんの「僕は綺麗だけど醜い」
と言う美学が結実したかのような曲です。


あんなに美しい人が、逆に醜さ、そしてその哀しみを歌う。
だからこそそこに説得力、深い感動が生まれます。


でも、歌詞を読むと、結構怖い内容ですよね。
「君を奪いたい全てを 誰も邪魔させない ああ誰にも」


「例え嫌われ口も聞かない ああそれでも君がいれば」
「君の痛み知り 僕の喜びは君に」
「君の傷口に 僕の溢れ出す愛を」

そして極めつけは

「あなたは僕だけのものでいて」

つまりこれは、愛する女性を思うがあまり、監禁し
一生自分の手元に置いておく、と言う内容です。
狂人のラブソング、とも言うべき・・・


こんなに君の事を痛めつけているけど、
それは君の事を愛しているから何だ、判ってくれ
と涙を流しながら、拘束している様な・・・


文章にすると本当に悪趣味な感じなんですが、
不思議とこの曲からはそんな事は感じられないんですよね。
歪んでいるけれど、むしろ純粋な愛の唄・・・
2曲目のlove letterにも繋がりますね。


そしてこれに、ヒデの泣かせるメロディが乗るわけです。
人気がないわけがありません。


この曲はS/Nの中でも、かなり重要なポジションです。
試しにこの曲を外してS/Nを聴いてみてください。
随分とイメージが変わると思います。
音的にかなり尖ったこのアルバムですが、
この曲がある事によって、ギリギリで破綻するのを
留まっている。そんな素晴らしい曲です。


ヒデの曲はいつもそうですね。1枚のアルバムに1.2曲しか
入らない事が多いのですが、とても大切な曲が多い。


今井さんの天才的・変態的(笑)センスにばかり目を取られ、
埋もれてしまいがちなヒデですが、彼がいるからこその
BUCK-TICKであり、彼がいなくてはダメなんですよ。

そんな事を改めて実感させてくれる名曲です。

そういえば、例のリメイク第3弾の「M」、
デイインでも良くやるし、イニシャルもあっているのでこの曲も
一応候補に入りますが、やっぱりヒデ作曲という事で
可能性は薄いですかねー。

「僕は醜さにいつも哀れみの唄を そうして傍にいて微笑んで
僕の醜さにいつも溢れ出す愛を だから此処にいて 
泣かないで 貴方は僕だけのもので居て」 櫻井敦司


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SIX/NINE解説10 デタラメ野郎

誰もが諦めかけた頃にひっそりと更新される、
そんなシリーズの続きです。


でも前回の更新から、、まだ1ヶ月位だったんですね。
この間コメント欄で怒られたので(笑)半年位放置していたような
気がしていました。我ながら毎日更新はやっぱり凄い・・・


前の曲が今井ワールドならば、
この曲は櫻井ワールドといったところです。


当初「唄」ではなくこの曲をシングルにしようと、
櫻井さんは熱望したそうですが、
メンバー内の多数決で敗北。
結構凹んだそうですが・・・やっぱり民主主義は大事?


曲はノイジーなギターのリフが印象的です。
このアルバムの中では一番テンポが速いかな?


歌詞は、今までの自分を思いきり自嘲したモノですね。
格好付けて、偉そうなこといって・・・
オマエ=自分に、何がわかってるんだ、おい?
と問いかけているような、否定しているような。
もはや絶望を通り越して、自棄になっているような。


当時は精神的にかなり参っていた(吉川晃司さんの話によると、
睡眠薬も服用していたそうです)
櫻井は、本当に死を考えていたのかもしれません。


しかし、それすら許されない自分。
商業主義に振り回されて、生きる自由・死ぬ自由すら
無い自分は、いったい何なのだ?


そしてその表現がまた凄い。


うおおおっー


シャウトじゃないですよ。歌詞です。
ちゃんと歌詞カードにこのまま載ってます。


カリスマとあがめられ、祭り上げられた自分は、
そのくせ何一つ自由がない。
だが、もういい。悩むのはやめだ。
やってやるさ。やりたいように!
そんな思いがほとばしり出ています。


当時セールスでも常にトップを争い、
メジャー中のメジャーにいたバンドがこんな曲を
書くなどと、全く常識外れのことです。
実際、レコード会社からはかなり色々言われたそうですが、
それを振り切って、やりたいようにやったのがこの曲であり、
このアルバム自体がそうです。


「笑いたかったら笑え」


は、自嘲的であるとも取れますが、それ以上に、
周りがなんといおうと俺は俺の道を行くという決意を
叫んでいるのかもしれません。


最近はライブでもほとんどやらないので、
久しぶりに聞きたいと思う反面、
あの時期・あのときの櫻井さんだからこそ
表現できる曲だとも思うので、
このままでも良いのかな・・・


当時は黄色い泉の意味がわかりませんでした。知り合いは
「・・・お○っこの泉?」とか言ってました。おい!(笑)
皆さんはすぐにわかりました、黄泉のことだって・・・?

「存在理由オマエが死ねば 何の意味もない軽い言葉だ
軽薄な俺さ酷い顔して 存在理由 存在理由と」  櫻井敦司

Six/NiNe (デジタル・リマスター盤)


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SIX/NINE解説9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(後編)

しまった、前編のあとすぐ続きを書くつもりが、
今週はPV祭りですっかり間があいてしまった・・・


歌詞について書きたいことは前編でほぼ言い尽くしました。。
後半も、前半の解釈と同じようにバンドや音楽シーン
等に対する皮肉と取れば裏に隠された意味がわかりますね。

「向こう側で上手くやるのさ 突き抜けさあ希望の都で会おう」


「希望の都」と書いて「地獄の果て」とルビを振るセンスが、
さすが今井という感じです。


さて、もう一つこの曲の特長、それは今井が半分くらい
ボーカルを取っているということですね。
前作DTDの「Madman Blues 」も、
櫻井とのツインボーカルっぽかったですが、
この「相変わらずの・・」では担当する部分が
より多くなっていますね。


また、それまではエフェクトがかかっていたり、
調子っぱずれの声でシャウト(笑)していたりしたのですが、
この曲ではとても格好いい声を聞かせてくれています。
初めて聞いたときは、「え、これ今井さんの声!?」
と驚いた人も多いはず。クールで良い感じですよね。


「WARDS BY BUCK-TICK」という本の中に、
藤井麻輝と今井寿、そしてhideの対談という
超豪華な記事が収録されているのですが、
その中で今井の声について

S_2


藤井「声良いッスもんね」
hide「凄い好き」

と絶賛しています。
スーパーシャフト、実現して欲しかったなあ・・・


ここで自信を付けたのか、もしかしたらコレが
後の今井フルボーカル曲、
「Sid Vicious ON THE BEACH」を生み出したのかもしれません。
また、いよいよ発売される新曲「ランデヴー」でも、
かなり重要なコーラス部分を担当しているのは、
ここを見てくださっている方ならもうご存じですよね!


以上、前後編にわたって解説したこの曲。
超大作SIX/NINEの中でも、かなり異色の、
そして最高にイカス名曲です。
久しぶりにライブでやって欲しいなあ。


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SIX/NINE解説9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(前編)

さて、S/Nの曲解説シリーズの中でも、
一つの山場だと思っているのがこの曲です。


元々はこの曲だけを紹介するつもり
(=この曲について語りたかった)
のですが、どうせなら、と軽い気持ちで
アルバム全体の解説を始めてしまったのが運の尽き・・・


こんなに長くなるとは思わなかったです。
それほど濃密な作品なんですよ、S/Nは!


前の曲が櫻井ワールド前回なら、
この曲は作詞・作曲 今井寿、純度120%の
今井ワールドです。


歌詞は、そのままの字面で捉えれば
「魚の唄」?ですが、もちろんそんなわけ無いですよね。
これにはダブルミーニングがあるということは
すぐに気がつくと思います。


ただ、それはいったい何なのか、というのは
人によって随分意見の分かれるところだと思います。


もちろん今井からの正式なステートメントがでていない以上
正解はない、つまり誰の意見もある意味では正しいし、
ある意味では間違っていると言うことになるのですが。


敢えて持論を展開させていただきます。


この曲は、今井が自分たち=BUCK-TICKの立ち位置と、
その当時の音楽シーンに対する思い・腹立ちを
歌詞に込めたのだと、自分は思います。


「游ぐ魚、游がない魚、游げる魚、游げない魚」
魚=バンド、アーティストのことです。


游ぐ魚このシーンの中で泳ぐ=シーンに乗っていく者。
游がない魚 バンドブームを嫌い、それを避けている者
游げる魚 才能ある者・バンドブームさえ利用し、
のし上がろうとする者
游げない魚 シーンに飲み込まれ、流されていってしまう者


つまり、以前のバンドブーム論でも語ったように、
まるで濁流のように押し寄せたバンドブームという
波の中に飲み込まれたアーティスト達を「魚」と
表現しているのです。


「有象無象の魑魅魍魎が跋扈する海の中のあの世界」
これは、アーティストを食い物にしようとする、
レコード会社・プロデューサー・広告代理店・
そしてマスコミ達・そしてそれらを含めた腐った
日本の音楽シーンを暗喩していますね。


「俺は1人金魚ばかりのうるさい魚群から脱け出す雑魚」


「金魚ばかりのうるさい魚群(カタマリ)」 これは当時、
BUCK-TICKのブレイクを受けて雨後の竹の子のように
現れた多くのビジュアル系バンドを皮肉っているのでしょう。


プロデューサーやレコード会社に言われるままに
キラキラと着飾って、みんなの前で愛想を振りまく姿は、
まさしく「金魚」。しかし、見せ物以上の物ではない。


そして、俺=BUCK-TICKはそんなヤツラとは違う、
好きにやらせてもらうぜ、俺たちは異端=雑魚で良い。
そういう今井の思いが込められているのだと僕は思うのです。


欲望だけか~以降は、その下らないシーンの中で踊らされ
喜んでいる勘違い野郎達を皮肉っている歌詞でしょうか。


以前バンドブームについての考察を書いてみましたが、
やはりメンバー、そして今井もシーンやレーベルに
対する不満が募っていたんでしょうね。
そして、それらからの決別を決意していたのかもしれません。


事実、このアルバムはお世辞にも「売れ線」とは言えませんし、
これで離れていったファンも多く、以後、バクチクは
所謂表舞台、雑誌の表紙を飾り、音楽番組で積極的にブロモ、
なんていうことから離れていき、メディアへの露出も
減っていくことになります。
(最終的には次作COSMOSを最後に移籍することになる)


長くなってきたので今日はここまでにします。続きはまた。
ちょっと暴走しちゃったかな・・・

「Seaside is heaven/Neverside is go 
Suicide is heaven/Newblood is go
Somebody is heaven /Nobody is go 
Six side is heaven/Nine side is go」 今井寿

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SIX/NINE解説8 Somewhere Nowhere

アルバム「SIX/NINE」の解説シリーズです。
順番で行くとSomewhere Nowhereの
解説なんですが、これは聞いた人はもうわかると思いますが、
ちょっと特殊・・・、完全に櫻井ワールド・・・


わざわざ解説するのも野暮かなあ、と思うんです。


アルバムの折り返し地点、
十三階は月光における「CLOWNS~」や「十三秒」的な
インターミッション的な曲ですね。
今井が即興で作ったSE的な物に、
これまた即興的に詩を付けたものだとか。


「完全に迷った・・・」というフレーズは、このアルバムにおける
テーマの一つ「カオス」を表してしているものでもあり、
また櫻井が陥っていた創作における
苦悩のことでもあるのかもしれません。
アルバム前半の混沌とした内容自体を
表している、とも取れます。


「わかったぞ・・・こっちだ!」
果たして櫻井は自分の苦悩に答えを、
出口を見つけることが出来たのでしょうか。
それは、この後に続くアルバムの後半で
語られていくことになります。


なんて無理矢理解説してみましたが、
この曲については是非、ご自分の耳で
聞いて確かめてみてください。


「何処だ・・何処なんだよ・・・どっちだ!?
・・・わからねぇ・・・完全に迷った、クソッ
ドッチダ・・・寒い・・・・ドッチダココハ・・・ココハドコダ
ドッチダ・・・何処だ・・・ダレカ・・・誰か・・・!」   櫻井敦司


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SIX/NINE解説 特別編「君へ」

シリーズの続きです。
本来ならばSomewhereNowhereの解説なんですが、
ちょっとお休みして、今日は隠れた名曲「君へ」のことを・・・


この曲は、SIX/NINE(以下S/N)からの先行シングルである
「唄」のカップリング曲です。
アルバムには収録されていないのですが、
同時期の曲と言うことで、S/Nとともに紹介しようと思います。


何故「隠れた」名曲かというと、前述のように
アルバムに入っていない為、
存在を知らない方も多いというのが一つ。


ちょっと調べてみましたが、2005年に出たCATALOGUE 2005
にも入っていません。更に調べると・・・


ようやく見つけました。1999年に出た
BTというシングル曲メインのベスト版に
収録されていました。


聞いた方はわかると思いますが、うねりのあるリズムに、
非常にドラマティックな展開と、
物語を感じさせる歌詞が素晴らしい曲なんですよ。


さて、「幻の名曲」たるもう一つの所以。
それはこの曲、ライヴで滅多に聞けないんですよ。
いや、もしかしたらライブでまだやったことないかも!?


手元に正確な資料がないので、
当時のS/Nツアーでやっていたかどうかわかりませんが、
少なくとも映像として残っている、つまりDVD化されている
他のツアーでは演奏されていない。
(当時のこと詳しく覚えている方がいらっしゃいましたら、
是非コメント欄で教えて下さい)


僕もライヴで聞いた記憶がないですね・・・
S/Nツアーは1.2公演しか参加しませんでしたが、
少なくともそこではやらなかった・・・と思います。


BUCK-TICKはキャリアが長い為、
初期の曲などはやらなくなってしまった物も多いんですが、
「君へ」は時期で言うと中期以降なので、珍しいですね。


初期の曲にしても、年末のデイインのおかげで、
TO-SEARCHやFLYHIGH、MY EYES & YOUR EYES
なんて、もう諦めていた名曲を聞くことが出来たので、
ファンとしてはかなりの夢が達成されたと思うんですよ。


にもかかわらず、「君へ」はやらないんですよねー。
人気がないのかというとそうでもなく、
2006年末の会報アンケートでは
「やって欲しい曲ランキング」で4位に入っていましたから。


結構不遇なことの多いヒデ作曲の中の一つですが、
是非今年のフェス辺りでやってくれることを祈ります。


(2002年の東京ベイNKホールのライブは
ヒデの誕生日だった為、アンコールにおける櫻井さんの
「ヒデの良い曲を聴こう」というMCのあと、プチヒデ曲祭りが
あったんですが、そこでもやらなかったからなあ)


「誰かの遠吠えに 見覚えのある君の顔が浮かんでは 消えた
君の重さを感じたい 最後に月へと吠えた
目を閉じて さあ行こう 君の夢へ」       櫻井敦司


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SIX/NINE解説7 細い線

シリーズでお送りしています。

この曲も歌詞は凄いです。凄すぎます。
櫻井の歌詞の特長に「自己否定の美」というのがありました。
自分の弱さや醜さを歌詞にする。
それは前作DTD辺りにもありました。


でも、あくまでも自己否定の「美」であり、
どこか自分に酔っている、
まだ格好付けている部分があったことも否めません。


しかし、ここで遂に「美」が無くなり、自己否定のみに。
「神よお恵みを 力なく弱き僕に」
「俺の言葉に 赤面する線の細い俺」


バンドブームで頂点に上り詰めたカリスマである自分が、
しかし、その作り上げられたイメージと、本当の自分のギャップに
苦しむ様子が現れています。


ステージの上では偉そうに、美辞麗句を吐き、
皆にもてはやされる自分。
けれど本当の自分はどうだ?自分では「何一つ選べない」


結局レコード会社や周りに利用され、
踊らされているだけではないのか?
アーティストなどといっているが、結局「食べていく為だけ」に
唄っているんじゃないのか?


彼が本当に実力が無く、何も考えていない人間なら、
こんな事を考える事もないんでしょう。
真剣に取り組んでいるからこそ、
思い詰めてしまったのです。


「限りなく鼠」の歌詞とも繋がっていますね。
いや、前作DTDから、ずっと苦悩し続けていたのだと思います。


そして、遂にこの曲で彼は遂に爆発します。
以下、歌詞カードそのままです


「もうどうでもいい ランランラン なんでもいい ランランランラ
私はもう ランランラン 答えなんて知らないほうがいい」


ふざけてんのか?壊れたのか櫻井?


そうじゃありません。


彼は、その自分の弱さも苦悩も、
全て受け入れることにしたのです。
もはや、歌詞で格好付ける必要もない。
難しい言葉なんていらない。
どうだっていい。そうさ、どうせ誰も何も判っていない。
みんな。そして俺も。だから何? 


この歌詞は、ヘタに飾り立てた言葉より、胸に来ますね。
この曲で、遂に櫻井敦司は
ビジュアル系のボーカリストから、
本物のアーティストに脱皮したと僕は思います。。


この作品で離れたファンも沢山いると思います。
けれど、これで「一生ついていこう」と決めた方も沢山いるはず。
ここを見ている皆さんはどうですか?



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SIX/NINE解説6 楽園

前回より続いています。長いね。

曲調としてはHYPER LOVEや幻の都など
アラビックなテイストのある、ある意味
BUCK-TICKらしいものですが、
歌詞の内容がかなり異色です。


櫻井敦司の詩は、どちらかというと人間の内面の
ドロドロした部分や、自らの苦悩、生と死を
書くことが多く、所謂社会派のメッセージ色が
強い物というのはほとんど無かったのですが、
この曲は、始めてそういった事に触れています。


発表された当時の湾岸戦争やオウム騒動などの
テレビ報道に対する櫻井ならではの思いと
この国・この世界に対する憂い。哀しみ。


いかにも哀しそうに報道しているが、
その実は、視聴率の為に大仰に演出し、
コメンテーターやリポーターは
無神経に被害者にコメントを求める。


そういった物にやりきれなさを感じつつ、
しかし何も出来ない自分の無力さを書いています。


いいですね。他のアーティストなら
「俺が何とかする」「さあみんな立ち上がれ」
なんて出来もしないくせに
無様なことを唄うところですが。


この作品は後に発表されることになる
極東I LOVE YOU
繋がっていったのだろうと推測できます。
(極東はイラク問題に対するメッセージ性が強いです)


近年のライブでは、割と聴く機会が多かったですね。
櫻井自身も気に入っているようです。


最近ファンになった方は、ライブで聞いたこの曲が実は
10数年前に発表された物だとは、
知らない人も多いんだろうなあ。


ここ数日のバージニアや長崎での事件報道を見ていて、
その10数年前となにも変わっていない事に
憤りを感じつつ、この曲紹介を書いていました。


「テレビは悲痛な声でまくし立てる メロドラマ
この僕は軽く涙流すふりで 目を伏せた」
                        櫻井敦司

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SIX/NINE解説5 限りなく鼠

前回から続いています。


衝撃的な曲でした。


ボーカルはエフェクトでかなり聞き取りづらく、
演奏もノイジーでメロディアスとはとても言い難い。
かなり耳障り。


初めて聞いたときは正直苦手でした。


歌詞は、所謂当時のビジュアル系と呼ばれているバンド
にありがちな、綺麗で、幻想的で・・・
でも、内容は何もない。


なんてモノとは一線を画しています。


カリスマが、ここまで自分を、自分の弱さを
さらけだして良いのか?


あっちゃんにはいつだって私たちの王子様でいて欲しいの!
なんて思っていたバンドギャルの方達には、かなりショッキングな
内容だったと思います。


いえ、当時「360度夢見がち」だった僕も、
かなりショックを受けました。


そう、これは櫻井が、それまでの自分に、
バンドイメージに、そしてそれについてきたファン達に、
別れを告げる決別の曲でもあるのです。


この曲と、次の「細い線」は「S/N」の評価を分ける、
ある意味踏み絵のような曲です。


ここで倒れるか、それとも更に進んで、その奥に待つ
より深く昏いところを覗いてくるか。貴方ならどうしますか?


「もうさよならさ 甘い顔をした少年よ 可愛い顔した少年よ
生まれ変わり忘れよう 暗い影に遣られるその前に」

                                   櫻井敦司

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SIX/NINE解説4 鼓動

前回からの続きです。


この曲はアルバム前半のクライマックスです。


シングルにもなっています。


ヘビィな曲が多いこのアルバムの中では、


比較的今までのBUCK-TICKに近い、


メロディアスなナンバーですね。


シングルとアルバムでは、アルバムの方がボーカルが


全面に出たミックスになっている気がします。


歌詞は、2つの意味に取れます。


一つは、生命がこの世に生まれ出た瞬間、


「苦しみのこの世界」に生まれた瞬間から、


独りで生きていかなければならない、


という誕生・そして生きる苦しみの意味と、


もう一つは、名曲JUPITERから続く、


亡くなった母親への詩。


「完璧な幸せ いつも包まれていた」


これは子宮であり、母親の優しさのこと。


「苦しみのこの世界」は、


文字通りこの世界という意味と、突如訪れた母親の死、


という意味にも取れます。


JUPITERで悲しみ、前作DTDの「die」で


死を考えた櫻井は、しかし、この「鼓動」で


少しだけですが、前進します。


「抱かれていた母星にさよならを告げよう」


「生きていたいと思う 愛されているなら」


バンドブームにおけるストレスやファンとのすれ違い、


そして肉親を失った事による苦しみ。


しかし、それを乗り越えて、自分は、生きていきたい。


こんな自分でも支持してくれるファンがいる、


=「愛されている」なら、例え傷付き汚れても、


苦しくとも前に進みたい。


そんな決意が少しだけですが、この作品からは感じ取られて、


安心すると共に、櫻井のボーカルとして、そして人間としての


更なる成長を感じるのです。


「なぜ生まれた 判らない それでも 激しく

生きていたと思う 愛されているなら

ごめんなさい ありがとう」 
                                            櫻井敦司


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